Snugon MO1第四章:技術的な特徴や工夫を解説

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本ブログでは、Snugon MO1に興味を持っていただけるよう、特徴や開発ストーリーをお伝えしていきます。

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第1章から第3章にかけて、Snugon MO1の特徴、開発のきっかけとなったアイデア、そして試行錯誤の末に形になるまでの道のりをお話してきました。特に第3章では、粘土模型から3Dプリント試作、そして量産サンプルに至るまでの苦労をご紹介しました。

今回は、そのユニークな形状と多機能性を実現するために、Snugon MO1に搭載された技術的な特徴や工夫について、少し詳しく掘り下げて解説します。ハードウェアとソフトウェアの両面からのこだわりを感じていただければ幸いです。

ハードウェア面:樹脂パーツを最小限に

第3章でも触れましたが、Snugon MO1のコンセプト「5本の指すべてにボタンを配置する」を、量産可能な製品として設計することは、非常に困難な挑戦でした。特に、使用する樹脂パーツの数を最小限に抑えつつ、多くのボタンを立体的に、かつ押しやすい位置に分散して配置するという点が、最大のハードルでした。

試行錯誤の結果、Snugon MO1の本体を構成する樹脂パーツは、最終的に合計4つに集約されました。

  1. 底部パーツ
  2. 親指及び手のひら部パーツ
  3. 指先部パーツ
  4. ホイールパーツ

今回は、特に構造的な工夫が凝らされている「底部」と「指先部」について詳しく見ていきましょう。

1. 底部パーツ:立体配置を支える土台

底部パーツは、マウスの土台となる部分です。一般的なマウスと同様に、メインの電子基板を配置・固定するためのスペースが設けられています

Snugon MO1の底部で特徴的なのは、内部にいくつも配置された「柱」です。これらの柱は下記の重要な役割を担っています。

  • 上部パーツの固定: 手のひら部や指先部のパーツを、この柱に固定しています。
  • 立体的な基板配置の実現: Snugon MO1はボタンが立体的に配置されているため、メイン基板だけでなく、内部の上部にも別の小型基板を配置しています。この上部基板も、底部の柱の上面に固定することで、複雑な立体構造を実現しています。

樹脂パーツはこのように固定されています。

上部基板はこのように固定されています。

柱だらけですね。笑

2. 指先部パーツ:一体成型と樹脂の弾性活用

次に、人差指から小指指にかけてのボタンを担当する「指先部パーツ」です。外から見ると、人差指用、中指用、薬指用、小指用の計4つのボタンが独立しているように見えますが、実はこれらは内部で繋がった、たった1つの樹脂パーツで構成されています。 ちなみに、ホイールの手前にあるボタンもこの指先部パーツと一体化されています。

樹脂の程よい柔軟性と弾性のおかげで、各ボタン部分が独立してしなるように設計されており、特定のボタンを押しても他のボタンが一緒に動くことなく、狙ったスイッチだけを正確に押すことができる用になっています。これにより、部品点数を削減しつつ、複雑なボタン配置を実現しています。

ソフトウェア面:QMKのカスタマイズ性と応用

Snugon MO1の頭脳にあたるファームウェアには、「QMK Firmware」を採用しています。

QMK Firmwareは、主にキーボードの世界で広く使われているオープンソースのファームウェアです。名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。大手キーボードメーカーの製品に採用されたり、自作キーボードコミュニティでは定番となっていたりします。

QMK Firmwareの最大の特徴は、その高度なカスタマイズ性です。

  • 自由なキー割り当て: 全てのボタンに好きなキーや機能を割り当てできる。
  • レイヤー機能: 特定のボタンを押している間だけ、他のボタンの割り当てを切り替えられる(第1章で触れた60以上の機能登録の鍵です)。
  • マクロ機能: 一連のキー操作を記録し、1ボタンで実行。
  • タップ/ホールド機能: ボタンを短く押した場合(タップ)と、長押しした場合(ホールド)で、別々の機能を実行。
  • オンボードメモリ: 設定内容をマウス本体に記憶。他のPCに接続しても、ドライバや専用ソフトなしで、いつもの設定がそのまま使える。

通常はキーボード開発で使われることが多いQMKですが、マウスやトラックボールのようなポインティングデバイスの開発にも対応しています。Snugon MO1は、このQMKの持つポテンシャルを最大限に活かすことで、多ボタンマウスとしての高度な機能性を実現しています。

なお、Snugon MO1で使用しているQMKファームウェアのソースコードは、GitHubにて公開しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。カスタマイズの参考や、他のデバイス開発のヒントにしていただければ幸いです。

Snugon/snugon-mo1 (GitHub)

Snugon MO1独自の便利機能

QMKの標準機能に加え、Snugon MO1での利便性をさらに高めるために、いくつかの独自機能も実装しました。

Type Out Config (設定内容自動タイピング出力)

マウスの設定(CPI、レポートレート、スクロール感度など)を確認したい時、この機能割り当てたボタンを押すと、現在の設定値がテキストエディタなどに自動でタイピング出力されます。出力された内容は約2秒後に自動で削除されるため、作業の邪魔になりません。

出力される設定内容は下記の通りです。

  • CPI:CPI (100~12,000) 
  • Report Rate:リポートレート (250~1,000Hz) 
  • Scroll Divider:スクロールモード時の感度 (1~7) 
  • Scroll Invert:スクロールモードの上下左右反転状態 (Yes / No)
  • Scroll Horizontal Threshold:スクロールモード時の横スクロール閾値 (0~50) 

Scroll Mode (Mo / To)

マウスカーソルを動かす代わりに、マウスの動きで上下左右にスクロールするモードに切り替える機能です。Webページや横長のExcelシートなどをスクロールする際に便利です。

  • Scroll Mode Moは、ボタンを押している間だけスクロールモードになります。
  • Scroll Mode Toは、ボタンを一度押すとスクロールモードになり、もう一度押すまで維持されます。

Stop Cursor

割り当てたボタンを押している間、マウスカーソルの動きを一時的に停止させる機能です。マウスを持ち上げて位置を調整するのが少し面倒な時に役立ちます。


今回は、Snugon MO1の内部構造やファームウェア、独自機能といった、少し専門的ながらも、このマウスの使い心地を支える重要な要素について解説しました。私たちのこだわりが少しでも伝わりましたでしょうか。

Snugon MO1の魅力をお伝えする本ブログです、第四章の本記事で一旦のまとめは完了したいと思います。今後も魅力をお伝えするために記事発信を継続していきますので、ご期待ください!

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